5歳から10歳くらいまでの間に大切な「知的興奮体験」



  ここ数年、PonoLipoでは、自由が丘のお店を飛び出し、私立小学校のアフタースクールや、スポット的に開催されるワークショップでの、アクティブラーニングのプログラム展開に力を入れてきました。昨年秋には、千葉県の聖徳大学附属小学校のアフタースクールで「PonoLipoメソッド 物語創作・オリジナル絵本作り」の3ヶ月間のワークショップを開催しました。同様のワークショップを、今月から新渡戸文化学園附属小学校でも開催しています。こちらは、3学期のレギュラープログラムとして、毎年開催して3年目となります。



◆◆チャレンジングなアクティブラーニングプログラムの行方は!?◆◆

 昨年暮れの12月から、聖徳大学附属小学校のアフタースクールでは、新しいチャレンジングなプログラム「Google Earth アフリカの野生動物観察」が始まりました。Google Earthの教育的なプログラムをタブレットで操作し、モニター越しに、今現在リアルタイムのアフリカの動物たちの日常を観察しメモを取り、調べたいことを自分で自由に図鑑で調べて、面白いと自分が思ったことを書き出すということを毎週繰り返して行っています。最終的には、自分なりの観察レポートをポスターという形で制作し、ポスター発表会形式のクラス内プレゼンテーションを行う予定です。

 PonoLipo方式のワークショップは、型にはまったプログラムを指示通りに順番にやらせていくという、通常一般的な集団学習スタイルを取りません。自由度高く、基本的に子ども自身の好きなようにさせていきます。このため、最初の数回は、一般的な集団学習スタイルに慣れっこになっているスタッフや講師の方が、先の見えない不安と、子どもたちのカオスな状態に悲鳴を上げて「無理だ!」「駄目だ!」「間違っている!」という声が上がってしまうほどです。全体の企画進行を統括している私自身も、正直言うと、嵐の中の小舟のような心境になり、目的地に本当に辿り着けるのか不安に駆られる瞬間もないわけでもありません。

 さすがに「物語創作・絵本作り」ワークショップの方は、かなり場数を踏んでいて、ワークショップ全体の流れを完全に把握している講師陣で進めていますので、自信を持って開催していますが、昨年暮れより聖徳大学附属小学校で始まった「アフリカの野生動物観察」のプログラムは、PonoLipoにとっても初めてチャレンジする全く新し試みです。初回は、もう完全なカオス状態、2回目は、やる気スィッチが入ったのが、28人中5人ほどということで、アフタースクールを運営しているプラスワン教育のスタッフサイドからも、一緒に進行している講師陣からも「無理だ!」「失敗だ!」という声が上がり、大変ピリピリした空気になりました。

 ただ、私自身は、ハワイのノエラニスクールで、言葉の不自由な5、6歳の息子が、拙いながらも一生懸命取り組んでいたキンダーガーデンからグレード1のクラスでの、グループワークの課題を思い出すと「日本の子供たちは、こうした主体的な学習を経験したことがないだけで、能力的にできないというわけではないはずだ」という信念があります。実際に、息子も、それらの課題に一生懸命挑戦し、その成果をクラスメートと一緒に楽しんでいました。

 横並びで、同じことをさせると「できない」ということが際立ち、劣等感に繋がりやすいのですが、自由度高く、それぞれの子どもの好きなように学ばせていくと、着眼点や発想の違いという「個性」が際立ち、周囲の大人も、個人としてのその子の存在感を認めていくことができるので、自然と子ども達の自尊心も育まれていき、学ぶことへのモチベーションも高まっていきます。

 さて、そうは言っても、プラスワン教育のスタッフの皆さんも、私たちPonoLipoワークショップの講師陣も、ドキドキの冬休み明け初の授業が、先週開講されました。


◆◆子ども達の好奇心スィッチの在処を探りながら、根気よくじっと待つ◆◆

 授業の最初に、冬休み前最後の授業の時間に、2年生の女の子が、なんとなく図鑑で見つけて、「このマークはなに?」と質問してきた「絶滅危惧種」について、私の方から説明しました。その瞬間の生徒全員の真剣に耳を傾ける表情は、私の目に鮮明に焼き付いています。話しているこちらが緊張するほどの、迫力のある集中力を感じました。

 タブレットを使って、各地点の野生動物を観察していった後、休憩を挟んで、各自図鑑を読んだり、観察した動物の絵を書いたり、思ったことをメモしたりする後半が始まります。その後半の始まりで「巻末の索引を引いて調べたい動物や調べたいことが載っているページを見つけて、そのページの読みたい箇所を読む」という図鑑の使い方について、分かりやすく図鑑を広げて、丁寧に説明をしました。この説明の間、最初みんなびっくりしたような顔になり、直ぐに集中して耳を傾ける様子も、とても印象的でした。

 するとどうでしょう!前回までは、図鑑をちょっとめくって遊ぶだけで、友達同士でふざけたり、歩き回ったり、落書きしたりしていた子供たちが、黙々と図鑑を読んでメモを取ったり、描かれている動物の画像や骨格図を模写しだしたり、図鑑で調べたことを確認するために、またタブレットを開いて見たり、それぞれ自分の課題を見つけて、主体的に学び始めたのです。質問に答えてガイドしたり、励ましたり褒めたりしている内に、ふと気がつくと、クラス全体が、まさにアクティブラーニングの場に変わっていました。この驚くべき美しい光景には、プラスワン教育のスタッフの方々も、PonoLipo講師陣も、大人の方が驚嘆して興奮してしまったほどです。

図鑑も、学研、小学館、講談社、DK社の翻訳のものと、さまざまなレベルと編集方針のものを多数用意し、加えてアフリカの地図を見るための地図帳も置いて、子ども達の「調べる」環境を整えました。中高学年では、DK社の一番難しい図鑑を熱心に読み込んで、丁寧なメモを作り始める子もいます。1年生の女の子たちは、図鑑を読んだ後、タブレットに戻って、もう一度動物の様子をつぶさに観察して、びっくりするほど素晴らしい動物の絵を描き出しました。

「諦めずに、根気よく続けて、この光景を見られて、本当にやった甲斐がありましたね」と、このプログラム実現に尽力して下さったプラスワン教育のスタッフの方と、夢中になっている子ども達の姿を見て、笑顔で言葉を交わしました。まだワークショップは、これからも続きますが、今後の展開が、とても楽しみになってきました。


◆◆大切なのは本人主体で「知的興奮」を体験すること◆◆

 PonoLipo方式のワークショップでは、何よりも、その子に「知的興奮体験」をさせることに重点を置いています。夢中になって没入する感覚を「物語創作」でも、今回の「アフリカの野生動物観察」でも、体験させることができるようにと意図しています。

 それには、まず本人が「面白い!」と感じることが大切です。「子どもが本を読まない」という悩みを時折保護者の方からや、現場の先生やスタッフの方から聞いたりすることが多いのですが、「夢中になって没入する」という読書体験を経験しないと、本を読むようにならないのではと思います。世間や親が「良い」と思う本ではなく、その子自身が夢中になる本と出逢わせてあげることが大事です。幼少期から、色々な絵本を読み聞かせたり、様々な絵本と出会える図書館やPonoLipoのような児童書店に親子で行ったりして、その子自身が大好きな本を、親子で一緒に探して、没入する本と出会う場を作ることが大切です。

 また、今回のように「図鑑の使い方」を知らないから読まないということも、ままあります。一緒に、図鑑や事典を開いたり、インターネットで検索したりして、図鑑やPCの使い方を教えていくことは、大変重要です。その子の夢中になるスイッチが入りやすい環境を整えて、最初に大人が、子どもと一緒に遊ぶ感覚で、少しガイドして上げることが重要です。

 年長さんくらいから、小学校中学年までに、この何かに没入して夢中になるという「知的興奮体験」をさせて上げることが、その後のハードな勉学の中でも、自分を見失わずに頑張れる力を生みます。この「知的興奮体験」、つまり夢中で一つのことに没頭して試行錯誤を重ねながら思考を進めていく楽しさは、何も読書だけに限らず、音楽やスポーツ、アートやクラフトでも得られる体験です。重要なポイントは「指示通りの作業を繰り返していく反復練習(ドリル)」が目的化してしまう罠に陥らないようにすることです。その子のモチベーションが先にあって、「これをできるようになりたい!そのためには、この反復練習が必要」という位置付けで反復練習を行うことは必要ですが、ドリルをこなすことが目的化してしまっては、想像力も創造性も育まれません。「知的興奮体験」無しに、受験のための詰め込み型反復練習型の勉強を強いることは、あまりに過酷で、決して子ども本人の幸福には、結びつかないものと思います。


◆◆PonoLipoのワークショップは、子ども自身の主体的な知的興奮体験を目指しています◆◆

 PonoLipoでは、現在展開している「 物語創作・絵本作りワークショップ」「Google Earth アフリカの野生動物観察」のような、子ども主体のアクティブラーニング型ワークショッププログラムの展開を、学校や塾に頼らない自主学習力を子ども達自身が獲得するという観点からも、非常に重要な活動と考えています。

 詰め込みと反復練習に、どうしても偏りがちな現在の集団学習型の教育の現場に欠けている「知的興奮体験を主体的に経験する」ことを目的としたワークショップを、PonoLipoでは、今後も、さまざまな形で企画運営していく予定です。










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PonoLipo Shop 自由が丘
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