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三つ子の魂百まで…ごくごく幼い時期からその子の努力を正当に評価していくことの重要性

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 児童心理学の分野で有名な古典的な実験研究で「マシュマロテスト」というものがあります。これは、1970年スタンフォード大学のWalter MichelとEbbe B. Ebbesenによって行われた、4歳児を対象とした、幼少期の自制心と将来の社会的成果の関連性の研究です。  4歳児の目の前にマシュマロをひとつ置いて、「先生が帰って来るまで待てたらマシュマロをもうひとつ上げるよ。待てないで食べちゃったら、ひとつだけでおしまいだよ」と話して、先生は4歳児を部屋に残して出ていきます。一定時間経って先生が戻って来るまで、マシュマロを食べずに待っていられる子どもと、待てずに目の前のマシュマロを食べてしまう子どもとで、その後の学業成績や社会的成果に違いが生じるかを調査したのです。先生が戻って来るまで我慢して待てた子どもの方が待てなかった子どもよりも、その後の学業成績や就職などで、より大きな社会的成果を上げることが判明し、幼少期の自制心の重要性が注目されるようになりました。  その後の児童心理学研究に大きな影響を与えたこの「マシュマロテスト」は、近年のニューヨーク大学のTyler W. Wattsとカリフォルニア大学アーバイン校のGregg J DuncanとHaonan Quanによる大規模で広範な調査研究によって、「2個目のマシュマロを獲得した子どもの家庭の経済状況が、ひとつ目のマシュマロを食べてしまった子どもの家庭よりも良好である」という傾向が認められ、その実験結果が限定的なものであることが示唆されています。  スタンフォード大学での実験は大学関係者の子どもたちを対象にしていたので、最初の実験に参加した子どもたちの中には貧困家庭の子どもは含まれていなかったということですので、限定的と言いながら、幼児期の自制心を育むことが、その子の将来に渡って影響を与える可能性は、やはり大きいといえましょう。  まさに日本の諺にある「三つ子の魂百まで」ということでしょう。  今回ご紹介する実験は、カリフォルニア大学サンディエゴ校の教授Gail Heymanと中国のZhejiang Sci-Tech Universityの研究者グループによって実施されました。3−4歳の幼児273人を対象にして、中国で行われた「マシュマロテスト」のバリエーションで、昨年10月に報告されたものです。この実験が興味