STEAM教育とは?
PonoLipo Shop 自由が丘入り口側にSTEAM関連書籍コーナーを設けました! 英語書籍だけではなく分かりやすい日本語書籍を厳選してご紹介しています。 2020正月 特集! STEAMコーナー |
STEAMとは、Science、Technology、Engineering、Art、Mathの5つの分野が、これからの未来を担う子ども達の教育にとって、今最も力を注いでいくべき分野と定義して、それを基盤とした教育の実践を志向していく、世界の教育界の大きなトレンドです。
Science:科学分野の進歩発達は、近年余りにも急速で、議論を深める間も無く、これまで人類が長い時間をかけて培ってきた生命倫理や、基本的人権、個人の尊厳、社会の規範をあっという間に乗り越え塗り替えてしまうような勢いがあります。そうした進歩の中で、起っている事象への理解を深め、自身の規律規範に基づく価値判断をするためには、科学分野についての基礎的な知識と好奇心を育んでいくことが大切です。自分には関係ない苦手な分野として目を逸らしてしまうことがないよう、科学分野の知識を詰め込むのではなく、観察・実験といった体験を通しての、試行錯誤と論理思考に基づく問題解決アプローチを学んでいくことが、何より大切です。
Technology:コンピューターとインターネットの技術を理解し、日常使いこなしていくことは、これからの世界では、もう必須なことといえます。インターネット社会におけるメディアリテラシー教育は、安全安心に日常を生きていくための重要な鍵となります。ことの真偽を疑い、ステレオタイプの表層的な物語に安易に吸収されることなく、一次情報に当たることや自分の手足を使って調べる現実的なリサーチ能力が重要になってきます。また、インターネット上でのビジネス展開やサービス利用、自己表現が日常化していく中では、プログラミングの基礎を理解することは、自身で何かを創造したり表現したりしていく上で、今後一層重要となっていきます。
Engineering:バーチャルとリアルを、どのように融合させて日常化していくのか?ということが、コンピュータが生まれて以来の大きなトレンドとしてあります。この大きな流れは、更に一層進んでいくものと考えられますので、単にコンピュータを操作しネット上で活動を展開していくだけではなく、リアルな部分での仕組み作り、物理的なアウトプットを作り上げていく力は、今後最も求められる能力といえます。手を使って自力で工作していく作業なくして、社会を変革していく事業は立ち上がりません。例えば、福島の原発事故の修復作業などで遠隔操作されるロボット自体は、コンピュータのプログラムによって操作されますが、アームやタイヤなどの細部の角度や形状・強度・材質などは、人間が膨大な試行錯誤の中で、細かな調整作業を繰り返していくことで、初めて実際の作業が前進していくのが現実です。最新のコンピューターグラフィックを駆使したアニメーション映画でも、裏側では膨大な手作業があり、ひとりひとりのクリエイターのセンスと創意工夫によるところが、非常に大きいのです。この非常に泥臭い「手を使ってモノを作り上げる」センスと経験値というのが、実はAIと共存共栄していく大きな力になるのではないかと、私の周囲のトップクリエイターの方々はお考えのようです。最終的には、人間の手技・手仕事の差が、大きな成果の差を産むというのです。幼少期に、なるべく体を動かし、手指を使ってモノを作る作業をすることが大切だというのです。
Art:STEMに近年加わったArtの分野は、スマートフォンの進化と普及により、誰でも画像や動画によるビジュアル表現を発信できるようになったということが背景にあります。それまでのテキストでの表現ではなく、画像や動画で自己を表現していくということが、日常化していく中で、「伝わりやすい表現」「心の深いところに刺さる表現」「共鳴・共振を呼ぶ表現」などプレゼンテーションのスキルが、急速に高度化・多様化してきています。ただビジュアル表現は、テクノロジーの進化により誰もが容易に発信できてしまい、また言語や世代の壁を軽く超えて受信されていきますので、文化的な衝突や軋轢、モラルハザードの問題なども、凄まじい速度で広範に、また頻繁に起こって来ます。こうしたカオス的状況に、一定の秩序と方向性を与え、自分たちが向かうべき望ましい未来について、人々に問いかけ考えさせるArtの存在意義が、今非常に高まっています。映像・画像での表現では、今後様々な試行錯誤や実験的な試みが繰り返されていくことでしょう。そうした表現にナイーブで、無闇に振り回されたり影響を受けたりすることは、大変危険です。自己意識を中心にしっかり持ったアーティスティックな感覚なしに、そうした情報カオスを生きていくことは難しい時代が到来しているといえます。「私は私が大切と思うことを大切と思う」「私は私が美しいと信じるモノを美しいと信じる」といった強さが求められているのではないでしょうか。
Math:ディープラーニング、ディープフェイクなどの技術の進歩は、ことの真偽を見抜いていくことを事実上不可能と言えるほど難しくしていきます。そうした揺らぎが日常化した世界で、最も役に立つセンスは、最もシンプルでピュアな数学的な感覚なのかもしれません。ビッグデータという大きな流れを観ていくスタンスと、個々人が発信する情緒的かつ断片的なビジュアル表現という両極端な情報の氾濫の中を自分を見失うことなく泳ぎ切るためには、数学の、中でも集合の概念と統計学の知識は、非常に重要になって来ます。昨年のベストセラー「Factfulness」で提示されたように、シンプルなデータに立ち返り、客観的に数字を読んでいく感覚は、これからの時代、ますます重要になってくるといえます。また、プログラミングの基礎として、高度な関数分野の理解力が求められていきますので、数学的感覚を育む教育は、なお一層重要となって来ます。ここで気をつけなければならないのは、小学校低学年から始まる算数の各分野の勉強が、中学年、高学年、中学、高校、大学へと繋がる数学教育の最初の基礎であり、そこを蔑ろにすると、ブロックがかけた状態で、その上にブロックを積んでも崩れてしまい上に積めないのと同様、数学は、特に基礎から丁寧に一つ一つ組み上げていくことが大切だということです。元々理系の感覚を持っている子どもでない場合は、スティックやおはじき、カップや定規、カードやトランプなどの道具を使って「手を使って数のセンスを育む」ということが、非常に大切です。数学的なセンスを育む知育系のゲームも色々出ています。ぜひ家族で楽しむ遊びの一つとして、取り入れてみて下さい。
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以上のように、STEAM教育の各分野について、詳しく解説して来ましたが、全体を通して共通するのは、「詰め込みではなく体験が重要」「知識偏重ではなく創意工夫が大切」ということです。更にいえば「論理的な思考で、試行錯誤するアプローチを、体を使い手指を使って、実際に何かを創造し手作りしていくプロセスを通して体験させる」ということでしょうか。
PonoLipo Shop 自由が丘でも、今春休み頃に、こうしたSTEAMのコンセプトに基づいたワークショップを店内プレイスペースで展開できないか計画中です。日程や内容などの詳細は、HPやFacebookページにて、2月初頭にお知らせいたしますので、ご興味がおありの方はチェックして、ご予約をお入れ下さいませ。
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