物語を創作し絵本を作るグループワークショップの試み
参加者は、小学校2年生、3年生の女子10人、男子1人合計11人です。
プログラムの流れは、以下のようなものです。
第1回目 「ラング童話」から10分くらいの短いお話の朗読を、想像しながら耳で聴いた後、ピクチャーカード(「ものがたりカード」©PonoLipo)を使って、Aグループ(5人)、Bグループ(6人)に分かれて、順番に引いた札の絵をつかって物語をつなげて紡いでいく「ストーリーテリングゲーム」をします。
※ここでは、ゲームという遊びを通して「物語を作る」ということが、そんなに難しいことではないということを体感し、またグループで物語を共有していく関係性を構築していくのが目的です。
第2回目 物語の朗読を耳から聴いて、印象に残った場面の絵を描きます。
※自分の頭の中で想像したものを描くということを実際に経験して学びます。
第3回目 「ラング童話」のやはり10分ほどの短い物語の朗読を、想像しながら耳で聴くというウォーミングアップの後、PonoLipoメソッドの物語創作ワークショップ教材「ことばカード」(©PonoLipo)をひき、設定された登場人物・場面設定・ハプニングに基づいて、物語の粗筋をグループディスカッションを通して決めていきます。
※このプロセスがうまく行くかどうかは、アートの先生も企画した私もドキドキだったのですが、最初に丁寧に「ストーリーテリングゲーム」を通して、カードの絵を引き金にしてアイデアをイメージし、それを言葉にして表現し合うということを実践したためか、みんな積極的に自分のアイデアを出し合い、みるみる時間内にお話がまとまっていきました。
<粗筋を各グループ担当の先生がまとめて、人数のパートに区切ったプリントを作成>
第4回 各パートの担当者を決め、それぞれが粗筋に沿って自分のパートを400字詰め原稿用紙半分~2枚くらいという約束で文章化していきました。
※最初は、「書けない」という子には、一緒にアイデアを考える相談に乗ったり、既に書いた部分を読んで面白いと励ましたりと、ひとりひとり丁寧に応対しながらでしたが、途中からみんなものすごい勢いで原稿用紙に向かって文章を夢中になって書いていく様子で、原稿用紙2枚800字近く書いた子も数人いました。一番書いた子だけ、お持ち帰りして原稿用紙3枚書くことになりましたが、その他の子は全員時間内に自分のパートを書き上げました。これには、私も先生たちもちょっとびっくりして感心しました。
<アフタースクールのスタッフの方が、誤字脱字、句読点の間違いなどにのみ赤を入れたみんなの原稿をワープロ打ちして、A、Bグループそれぞれの物語をプリントにまとめてくれました。>
第5回 グループごとに立ち上がってもらって、配られたプリントの、自分たちの物語が活字になったものを使って、前回自分が書いたパートをひとりずつ音読してもらいました。最初は嫌がって抵抗していましたし、聴く側も集中せずざわざわしていましたが、「耳で聴きながら手元のプリントの文字を目で追うように」と教えると、皆すぐにやり方を理解し、後半は、ものすごく静かに集中して話を聴くことができました。オーディエンスの集中は、読む側も勇気づけるようで、だんだん読む声も大きくクリアになっていくのが、とても印象的でした。この後、登場するキャラクターを絵に描いたり、名前を考えたり、物語のタイトルを決めたり、ワイワイグループでフリートークしました。
※それぞれ自分の書いたパートが見事に物語の中に組み込まれていることを、音読していく中で実感することができ、自分たちがやっていることの面白さを十全に理解したのか、その後のフリートークは、生徒たちが自発的にワイワイ自分たちで話し合って、どんどん進めていく形となりました。
<それぞれの物語を1ページごとのかたまりに分け、オリジナル絵本の文章ページとなるようにプリントアウトしたものを準備しました。>
第6回 それぞれ、どこに絵を入れるか考えながら、文章ページと絵を描く台紙を、アートの先生たちが準備して下さったクリアファイルのポケットに入れていき、自分の絵本のレイアウトを決めました。そのレイアウトに沿って、描けるところから絵を描いていきました。
※もう、自分の頭の中にイメージがある子は、どんどん絵を描いていきます。建物や街を先に描きたい子には「登場人物のアタリだけつけて、どんどん風景を描いていって、登場人物は、後から描いたり貼ったりしてもいいよ。」とか、最初の絵が描けないでいる子には「描きたいところから描いていいよ」とか、「文章にある情景を全部描かなくても、出てくる美味しそうな食べものとか、面白い道具とかだけを描いてもいいんだよ。」など、自分の好きなように自由にプロセスを進めて良いとうながしていくと、「先に線画だけ描いていって、色は後から全部まとめてやる」「持って帰って家にある色紙とか貼りたい」など、それぞれ素晴らしいアイデアも生まれてきて、みんな夢中で取り組みました。
PonoLipoが選書したライブラリーから
挿絵の参考になる本を持ってきて絵を描いていく。
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授業ではなく、アフタースクールのワークショップなので、
仲良し同志それぞれ好きな場所で、好きなように作業。
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自分の絵本全体をイメージできる子は、
もう夢中で、どんどん作業を進めていく。
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さて、今ここまで終了しています。あと残り4回です。後半は、挿絵を描いて、絵本を完成させ、できれば最後の回は、それぞれ自分の絵本をプレゼンテーションして、苦労した点や、面白かったことなどを話してもらいたいと思っています。
アフタースクールとしては、最終的にA、B両グループのふたつの物語とみんなが描いた絵を抜粋して構成される1冊の物語絵本にまとめて簡易印刷して製本するという計画になっています。
参加している生徒さんたちが、みなかなり積極的にモチベーション高く取り組んでいる様子に、毎回感激しています。アートの先生やアフタースクールのスタッフの方達からも、「すごく盛り上がって、良いワークショップとして進行している」との評価を前半の「物語をグループで創作する」というパートではいだだいています。
「楽しくて夢中になることが一番の知育」というPonoLipoの考え方が間違っていないなと確信でき、私自身大変嬉しく毎回楽しみになっています。私にとって「大人が思っている以上に、子どもは自発的にどんどん出来る」ということを目の当たりに実感し、その可能性を、とにかく先ず大人が信じることの大切さを、改めて心に刻むワークショップ体験となりました。
ここから先は、アートのふたりの先生たちが、インストラクターとなり、私はサポートに回って後半を進行していく予定です。ちょっとホッとして、経過ご報告させていただきました。最終的なレポートも、3月末には書く予定でおりますので、お楽しみになさって下さいませ。
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