子どもがいくつになったら、どんな本を読むの?【6才~12才】


【6~8才】
小学校の低学年のうちは、子どもそれぞれの言語能力・読解力にまだまだ大きな開きがあります。その子その子の発達の速度や特徴は、小さい頃ほどバラツキがありますから、この時期までは、同年代の子どもと比べて競わせたりせずに、まずは、その子自身のいるところから、一歩ずつ丁寧に大人が一緒に寄り添って、学んだり考えたりしていくことが大切です。

子どもが、絵のある薄い絵本を好む間は、絵の美しいビジュアル主体の絵本をたくさん読み聞かせてあげて下さい。自分で読めるからといって気持ちを離してしまわずに、絵本の絵を見ながら、物語の中で起こっていることについて、あれこれ思いつくままお話してあげて下さい。そうしたやり取りの中で、小さい子は、絵を離れて物語を理解し、その情景を想像していく力を身に着けていくはずです。決して急がずに、大人の方も絵本の世界を子どもと味わう心温まる贅沢な時間を堪能して下さい。子どもにとっても、親にとっても、この至福の時間は、懐かしく愛おしい思い出としてずっと記憶に残りますから、とっても大切です。



どんどん字が読めるようになって、物語の中に入り込んで熱中して本を読めるようになってきたら、その子が大好きな本を起点にして、周囲の大人が「そういう本が好きなら、こんな本も面白いんじゃないかな?」と、世の中には面白い本がいっぱいあるということに気づかせてあげて下さい。図書館や書店などを利用して、いろいろな絵本に出会わせてあげることが大切です。



物語が苦手で、図鑑や事典が大好きな子どもには、ノンフィクションやサイエンスフィクション、サスペンスなどの分野の物語がピンとくる場合が多いので、そうしたジャンルで、その子が面白そうに思える本がないか一緒に探してあげて下さい。歴史物、伝記物、発明や発見にまつわるエピソード集、SF、サスペンス(探偵ものや怪盗もの)、冒険譚などで、パパやママが幼少の頃親しんだ物語やそれに近いものを選んであげると良いと思います。



百科事典や図鑑、辞書、地理や歴史、算数、科学などのアカデミックな本は、「低学年用」「中学年用」「高学年用」など分かれていないもので、易しすぎず難しすぎないものでビジュアルが充実しているものを周囲の大人が吟味して揃えてあげると良いと思います。欧米は飛び級がある社会ですので、こうした条件に合った素晴らしい本が子供向けにたくさん出ています。もっと知りたい、先へ行きたいという子どもの意欲にブレーキをかけずに、どんどん前のめりに熱中して知識を吸収していける深みのある良書を選んであげて下さい。10冊20冊の百科事典全集のようなものはおすすめしません。小学生の間は1冊にまとまっていて、身近にあって何度も自分の本としてめくって読んで馴染んでいくものをおすすめします。



物語が大好きな子どもには、パパやママが子どもの頃に大好きだった物語のことをいろいろ話してあげて下さい。その子が興味を持ったら長いストーリーを少しずつ毎晩続き物として読み聞かせていってみてはどうでしょう。もう自分で読める子でも、パパ・ママが子どもの頃の気持ちに戻って、一緒に物語を味わうのは格別な体験です。誰かが読み手になって物語を楽しむことを家族の打ち解けた楽しい時間としてみるのも良いでしょう。

神話や、イソップ、アンデルセン、グリムなどの童話、日本昔話や世界の民話など、昔から語り継がれ、読み継がれて伝承されてきた物語を意識して取り入れると良いと思います。これらは、恐怖や不安などの負の感情を上手にコントロールして飼いならしていくことができるようになる「死と再生」の物語であり、そうした理由で昔から読み継がれてきたものと考えられるからです。




【8才~12才】
この頃には、もう子どもたちは自分で自分の読みたい本に出会えるようになっているかもしれません。その辺にまだアドバイスやサポートが必要な子どもの場合は、図書館や子どもの本のお店や売り場に、大人も一緒に行って、いろいろな本を大人自身もめくって読んで、あれこれお互いの意見や感想を言い合って、その子が本を選ぶのを手伝ってあげて下さい。自意識も芽生えてくるお年頃ですので、「これを読みなさい」というような押し付けを絶対にしないで、その子が欲しいという本をまず買ってあげて下さい。

その次図書館や本屋へ行った時に「この間の本はどうだった?面白かった?」と聞いてみて「面白かった」と答えたら、「パパ(ママ)も読んでみようかな。どの辺が面白かった?」とフラットな視点で情報交換するノリで話を聞いてみて下さい。その感想をヒントに次の本を選ぶサポートをしていくと、少しずつ深みのあるものへ進んでいけると思います。「つまらなかった」と子どもが答えた時には、「これはどう?」とご自身が面白いんじゃないかと思う本をすすめてみても良いでしょう。「パパ(ママ)が小さい頃大好きだったご本なんだよね」とか「いとこのAくんが面白いって言ってたよ」という感じで、それを選んでも選ばなくてもどちらでも君次第というカジュアルな感じで、大人同士が本の話をするのと同じ感覚で話をすると良いと思います。



集団が苦手で、感受性の強いタイプの子どもの場合は、世界児童文学全集に入っているような物語としての骨格がしっかりしていて、長い間読み継がれているものを読んでみるようにすすめてみて下さい。「ハイジ」「小公女」「小公子」「レ・ミゼラブル」「母を訪ねて三千里」「フランダースの犬」「十五少年漂流記」などなどです。これらの物語の主人公は、ことごとく「孤児または孤児同然」です。日本の物語でも「安寿と厨子王」など同じ系譜の物語です。「子ども独りでも、良い人間として日々を暮らせば、どのような逆境にあったとしても、必ず良い人と巡り合い、幸運への扉を自分で開いて生きていくことができる」という物語は、そうした感受性の強い子どもの心を強くし、思春期から大人へなっていく過程で起こる苦しい事辛い事悲しい事に負けずに生きていく力をつけます。


これらの物語の多くが、「貴種流離譚」といわれる「高貴な生まれの者が、身をやつして苦労を重ねた末に正義を貫き世に示し、本来の高貴な地位に就く」という物語であることも重要です。どんな理不尽な苦境にあっても「自分の中にある可能性」を信じて生きていく力をつけてくれる物語ですから、この時期の子ども達にさりげなく触れさせておく意識を周囲の大人が持つことが大切と思います。

私自身、家庭の中が不安定だった小学校三年生の頃に「レ・ミゼラブル」を何度も学校の図書室から借りてきて、肌身離さず持ち歩いて没入して5回も6回も読んだ経験があります。そうした家庭の内外の問題や、学校での人間関係などが深刻なものになる前に、こうした力のある物語を読んでおくことは大事なことと思います。


最近の物語でも、世界的に爆発的にヒットし、子ども達に受け入れられた物語や映画化されてヒットした物語は、こうした定石を踏んだものであることが多いようです。「ハリー・ポッター」も、「指輪物語」もそうです。宮崎駿監督の「ナウシカ」や「ラピュタ」もそうです。こうした物語の元型(アーキタイプ)を踏まえた骨格のしっかりした物語を、思春期前の小学生のうちに吸収することは、子どもの心の成長にとても大切なことと考えます。



★歴史の短い新大陸で、子どもの心を育んでいくために、ヨーロッパの民話や伝承の物語を子ども達に経験させる場として、ディズニー自身が自覚して「死と再生の物語」を体験するアトラクションをディズニーランドで提供しているという内容です。東京ディズニーランド開園にあたって日本人への民俗学的視点について講義した日本人民俗学者の女性の著作。子ども達の心の成長に「語り継がれてきた物語」が、いかに大切かを知ることができる良書です。



★ラング世界童話全集<みどりいろ>

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